記録にも、記憶にも残る馬

先週日曜日、荒天の中行われた第156回 天皇賞・秋。

台風の接近と、活発な前線の影響をまともに受け、馬場状態が悪化。天皇賞・秋当日は不良馬場になるほどの雨足でした。

前の週に、やはり台風の影響でグシャグシャの馬場で行われた菊花賞の勝ち時計が3分18秒もの時計を要していました。

どの馬にとっても、良いコンディションとはいえない条件。重の巧拙すらも超越する、精神面とスタミナの勝負だったようにも思えます。

この条件下でも1番人気に推されたのがキタサンブラック。前走の宝塚記念でも1番人気に推されましたが、まさかの9着敗退。陣営でさえ敗因がわからず、オーナー曰くは「馬が疲れて走りたくない、って思ったんだんろうなぁ。」というコメントまで。天皇賞・春の激走の疲れというのは、それだけのものだったのかもしれません。


予定していた欧州遠征を取りやめ、夏場を全休に充ててリフレッシュ。

秋シーズンは天皇賞・秋からのG1レース3連戦を目標としました。公式発表にもあったように、この3戦でキタサンブラックは引退することが決まりました。


春同様のG1・3連戦。

一筋縄ではいかないのはすでに宝塚記念での敗戦で証明されていますが、あえて陣営がこの秋の「王道」に挑むことに、引退までの意気込みがあるのではないでしょうか。


結果はもうご存知のことと思いますが、あの極悪馬場を物ともせずに2番人気のサトノクラウンをクビ差抑えての優勝でした。


ゲートで突進したタイミングで扉が開いての出遅れ。場内が一瞬ざわめいたようにも思いましたが、鞍上の武豊騎手がすっと内ラチ沿いに進路をとって先団を見据えるような形で追走しました。他の陣営はコンディションの良くない内側をあえて開けてのレースを選んでいるだけに、ここは勝負にでた武豊騎手の好判断と言えるでしょう。


その武豊騎手が舌をまくほど、キタサンブラックの能力は並の馬では成しえないパフォーマンスを見せつけたのです。それほど春秋連覇を成し遂げるというのは、並大抵ではできないことですから。ましてや天皇賞3勝という偉業はテイエムオペラオーしか達成していない記録でもあります。


春は驚異的なレコードをマーク、そして秋は最も遅いタイムでの勝利と、これまた記憶に残る一戦でもありました。どの馬にとっても厳しい条件でのレース、その中での勝利というのはまた価値の高いものに違いないと思います。


無事でいけば次走は昨年勝ったジャパンカップ。

今度はダービー馬レイデオロが待ち構えています。6着だったソウルスターリングも立て直してのJC参戦を表明、厳しい条件での戦いはまだまだ続いていくようです。



Self Portrait

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