第100回 凱旋門賞

2021年10月3日。
数えて100回の節目を迎える、フランス競馬伝統の一戦、凱旋門賞。

コロナ禍が全世界に蔓延る最中、ワクチン接種の効果もあり、今年もパリ・ロンシャン競馬場で凱旋門賞が行われる。

日本からは宝塚記念を連覇し、直行で挑むクロノジェネシスと前走のフォワ賞を逃げ切って勝利したディープボンドの二頭が、そして、武豊騎手がエイダン・オブライエン厩舎のブルームの手綱を取り、参戦する。
(写真:2020年 菊花賞時のディープボンド)

バゴを父にもつクロノジェネシス。
父は2004年にこのレースを勝ち、G1 5勝を収めたフランス産馬。ジャパンCへの出走(8着)もあり種牡馬としても当馬の他、ビッグウィーク(菊花賞)、ステラヴェローチェ(ダービー3着、重賞2勝)、オウケンサクラ(桜花賞2着、フラワーC)などの活躍産駒を日本で出している。
母父は、白毛のG1馬・ソダシを輩出したクロフネ。

3歳時の秋華賞、4歳時は春秋グランプリ(宝塚記念・有馬記念)を堂々制覇し、今春の宝塚記念でグランプリ3連覇を果たし、今一番に乗っている牝馬だ。

ロンシャン競馬場の馬場適性も見込まれ、海外挑戦となった彼女。3月のドバイシーマクラシックはラブズオンリーユーの2着ではあったが、日本からの牝馬2頭でワンツーを飾った。

手綱は主戦の北村友一騎手が落馬の怪我で乗れず、宝塚記念はクリストフ・ルメールが起用されたが、凱旋門賞はオイシン・マーフィーが取ることとなった。海外をよく知る名手2人の評価も高く、前売りのオッズこそ5番人気ながら、勝ちに近いと評価されている。

前哨戦、フォワ賞を逃げ切って勝利したディープボンド(父 キズナ)。3歳時からクラシック戦線で健闘し、今年の阪神大賞典でユーキャンスマイル以下を下しG2 2勝目。天皇賞(春)でもワールドプレミアムには負けたものの、勝ちに行く競馬でコンマ1秒差の2着。

欧州の馬場が合いそうとの陣営判断から、こちらは早めにステップレースを使って本番に臨むローテーションをしっかり組んで挑戦してきた。

フォワ賞優勝がより夢を現実に近づけた。
父もニエル賞でイギリスダービー馬・ルーラーオブザワールドをハナ差で退け、日本ダービー馬の威厳を示し本番へ挑んだ。

4着ではあったものの、能力を示したことは事実。日本ではその後、5歳まで走ったが勝てぬまま引退したが、種牡馬入りしてからの産駒の活躍もあり、評価は高い。親孝行息子が海外G1制覇で父も祖父もなし得なかった夢を叶えることが出来るか。
(写真:2006年 凱旋門賞 ディープインパクト)

一時はブックメーカーで1番人気に推され、前走のヴェルメイユ賞では2着に甘んじたスノーフォール。
父はディープインパクトで、英愛オークスを完勝し大器の片鱗を見せつけた3歳牝馬。

仕上がり途上、今年に入ってからの連戦続きなど、負けた理由が色々取り沙汰されてはいるものの、主役候補であることはまちがいない。

はじめてのフランス馬場に戸惑っていたと言う声もあるが、結果は2着でも同じ舞台を使って本番に臨むのは不利ではない。3歳牝馬で55kgの斤量も古馬に比べれば好材料と言える。オブライエン陣営が追加登録で出走してくる予定だが、実績十分の3歳牝馬が無双する可能性は大である。凱旋門賞での手綱はライアン・ムーア騎手が予定されている。

その他にも陣営はG1 5勝を挙げているラブ(牝4)はデットーリ騎手を配してきたし、武豊騎手が騎乗するキーファーズとの共同持ち馬、ブルーム(牡5)と3頭出しで制覇を目論んでいる。

ブルームは3走前のサンクルー大賞を勝ち、次走キングジョージは英ダービー馬・アダイヤーの4着。前走フォワ賞はディープボンドの2着で挑んでくる。クールモアと日本のキーファーズが手を組んだだけでなく、武豊騎手に凱旋門賞を勝たせたいというキーファーズのオーナーの思いも強い。昨年は同じ共同所有のジャパンで挑む予定も、直前で出走取り消しとなった苦い思い出もある。
陣営は2年越しの夢、武豊騎手の悲願は果たして叶うか。

アダイヤーも注目の一頭だが、ブックメーカーで1番人気に現在推されているのはタルナワ(牝4)。昨年のBCターフの勝ち馬で、ここまでG1通算3勝を挙げている。前走の愛チャンピオンSはセントマークスバシリカの2着であったが、勝ち馬は凱旋門賞登録も回避・引退となっただけに注目が集まっている。

近年は牝馬の活躍が目立つ凱旋門賞だが、ここ2年はフランス産牡馬が勝っている。99回の歴史からは68頭の優勝馬を出してはいるものの、JRA-VANの記事によると2010年以降の成績は外国調教馬の方に分があると言う。ただし、欧州以外の外国調教馬の優勝は未だ果たせておらず、日本馬は4度の2着とディープインパクトの3着入線失格、キズナの4着が上位の成績である。それだけ、欧州の壁は厚く、届きそうで遠い栄冠とも言える。

また、日本人騎手にとっても受難といえば、そうかもしれないが、有力な日本馬の鞍上には欧州競馬を熟知した外国所属騎手が起用されることが多くなった。陣営はもちろん勝利を目指してベストて思われる起用や作戦をとる。それに否定的な意見はしないが、騎乗する馬を熟知した騎手が手綱を取るのは、ごく自然なことではないか、と考える。

たらればを言えばキリがないが、オルフェーブルをよく知る池添騎手が、あの2度の手綱を取っていたのなら、、、とは思う事はある。

スミヨン騎手は言わずもがなの実力者、名騎手である。日本でも活躍ぶりは多く語る必要もない。彼のチカラとか騎乗ぶりとか、そう言うレベルでなく、やはり何か見えない要素があるとすれば、その馬をどれだけ知るか?ということも言えなくはない、と私は思う。

それでも絶えず挑み続ける武豊騎手。
日本馬であれ海外馬であれ、それが凱旋門賞に出走する、騎乗できるのであれば、迷わず選ぶ、とまで意を決していると思われる。

Self Portrait

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