阻まれた栄光の道

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キズナ・オルフェーヴル

シャンティイ競馬場で行われた凱旋門賞。結果は皆さまご存知の事とは思いますが、マカヒキは14着に敗れました。

欧州のホースマンの意地というか、狡猾さというか、至宝を是が非でも欧州以外には渡さない、それが凱旋門賞なんだなぁ、と改めて思い知らされた一戦でした。

幸い、馬体の故障などなく元気な様子が伝えられたマカヒキ。素人目にはいつもの彼に映り、またスタートも悪くなかったので、手ごたえあるかな?と思ったのですが、直線でアラアラ。

勝ちタイムは日本なら珍しくないものですから、御誂え向きだと感じた方も多いのではないでしょうか。それだけに敗因をどこに求めたら?と思う方も少なくない、そう私は感じています。

改めて番組を見て思うのは、チーム戦であることが最大の違いである、ということです。欧州やアメリカの大レースは、タクティカルな部分を研ぎ澄まして臨まなければ、やはり勝つには難しいのかもしれません。

ラビットの起用法や、多頭数出しなどはその手法の一因に過ぎないのですが、いわゆる日本的なフェアプレーだけでは、サッカーでいうところのマリーシアにあたる”ズルさ”をかわすことは難しいのでしょう。

馬の質は世界にヒケを取らないくらいに上がっているのは間違いない、騎手も騎乗技術が進歩しています。調教技術についても同様です。

ただ、日本の競馬に欠けているものを挙げるとするならば、実はチームとして機能するかどうか、組織面での成長なのかもしれません。

フランス競馬を熟知するルメール騎手を持ってしても阻まれるのが凱旋門賞。ならば、わざわざ乗り替わりをさせなくても、しっかり馬の癖を知り得ている主戦を鞍上に据えて挑むべきではないでしょうか。確かに、ムーア、デットーリ、スミヨン、ペリエといった一流ジョッキーが乗れば違う、けれども、テン乗りでいきなりというケースは稀です。勝ち馬のファウンドはムーア騎手のお手馬ですし、クールモアというチームの中で機能しているからこそ、デットーリ騎手の手腕も十二分に発揮できるのだと考えます。

武豊騎手が絶頂期だったころはサンデーサイレンス産駒の癖を熟知し、それを任せたオーナーサイドがいた、強力なバックアップがあってこそ歯車が噛み合うのだと思うのです。

ジャパンカップが世界の競馬を知るためのレースではありましたが、極東への輸送や検疫など、欧州やアメリカの遠征馬には不利になっている。馬自体のレベルが上がっているから余計、コンディションを短期間で整える難しさがあるのでしょう。レース自体のレベルが日本馬だけなら上がってるのでしょうが、世界のトップホースがわざわざジャパンカップに来ることがなくなってきたのはそういう理由があるのかもしれません。

また、時期として香港国際競走が行われているのも一因にあげられますが、元来、イギリスの統治を受けていた香港ですから、競馬の仕組みはイギリスから受け継がれているわけですから、遠征面で差異が少ないと考えるのが妥当です。

中央競馬のシステムは世界でも有数のレベルです。興行面での評価も高いと言われていますが、やはり今、考えなくてはいけないのはレース自体の質を高める、それが世界の大レースに通用する馬を確実に育てあげるためのシステムになるのではないでしょうか。

凱旋門賞にこだわらず、他のビッグレースへも挑戦すべき、という意見もあります。

今年、アメリカの三冠レースにラニが果敢に挑みました。優勝こそ出来なかったものの、本場のアメリカ所属馬でさえ三冠解禁の馬は数える程。ダートの本場で日本馬には不利は自明。しかし、ラニは一戦ごとに着順を上げ、最終戦のベルモントステークスでは3着に入りました。

環境への順応もしかり、陣営の組織力もまた然りです。

不利だ、と言われるからこそ、日本は挑み続けてきた。それを、おそらく日本の持つ底力で克服してきた、日本の魂なのかもしれません。

凱旋門賞を勝つ、確かに遠くはないかもしれません。しかし、現状ではまだ近くにはないのも事実です。勝ちを引き寄せる力は何か、それをこの敗戦から見つけ出してほしい、と強く思います。

素人の自分には、声援をおくることが精一杯。それでも多く感じることが素人なりにあるのです。何かのきっかけに素人なりの考えが、少しでも力になればいいのかな?と願うばかりです。

Self Portrait

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