『さすが、豊やなぁ~。』
Photo by Bunchaka
第39回帝王賞は『なぜか』5番人気のコパノリッキーが圧勝!
鞍上の武豊騎手は2014年のワンダーアキュート以来の帝王賞通算5勝目を挙げました!
前走のかしわ記念ではチャンピオンズカップからの連敗にストップをかける復活の勝利。秋のアメリカ遠征を睨み、矛先を向けたのが今日の帝王賞だ。
大井競馬場での実績からも人気になっておかしくないが、同型の逃げ先行馬が揃い、またライバル・ホッコータルマエのマークも厳しいだろうと見て、5番人気にとどまった。1番人気に推されたのは唯一の4歳馬で、不良馬場も苦にしないノンコノユメだった。
内枠からの先手争いがどうか?と思われたが、スタートをしっかり決めてポジション争いに。大外のクリソライトが果敢にハナを主張、内からもアスカノロマンが譲らぬ姿勢を見せると、スッと2頭を行かせて外目の3番手に構えた。直後にホッコータルマエ、最内の5番手にアムールブリエと続く。ノンコノユメはその少し後につけ、さらに後ろからサウンドトゥルーといった形に。
行かせた2頭の脚が止まりかかると馬なりに外目から3コーナーすぎで仕掛けた後はエンジン全開。後続も離されまいと追いかけるが、4コーナーを回り直線に入ってからは差が縮まることなく抜けきって、ゴール番を駆け抜けた。
2着には1番人気のノンコノユメ、3着はサウンドトゥルー、ホッコータルマエはその後の4着。
前走から15㎏増だが、しっかり馬体が出来上がっている印象だったコパノリッキー。逃げられなければ脆いレースが目立ち、逃げ馬の宿命とはいえ実績からも5番人気に甘んじる訳にはいかなかった。前走も人気馬を捩じ伏せ強い競馬だっただけに、コパノリッキーを推したファンには非常に『美味しい』一戦となったはずだ。
いくら自分のかたち、とはいえ相応の力がなければJpn1クラスは勝てない。しかも今回は前に馬をおいて抜け出すレースで勝ったのだから、6歳にしてさらに進化をしているコパノリッキーを素直に評価すべきだ。
2着のノンコノユメは差し味は文句ないが馬体がいかんせん乏しい。ダートが主戦である以上は馬格がものを言うだけに、今回は勝った相手が上を行っている。
3着のサウンドトゥルーも脚質が後ろから。馬場もベターではなかったが前走からの馬体も戻っているし力は出している。
4着ホッコータルマエは休み明けがやはり今一つなんだろう。自分の競馬のかたちでは進めているし、コパノリッキーとのレースで負ける時のパターンだから気にしないでいい。まだまだ衰えるには早い。
5着ユーロビートは大健闘。地方最先着だからではなく、力を出しきっての結果だから、昨年の着順から一つ落としたとは言え南関東トップクラスの面目は果たした。
さて、鞍上の武豊騎手には本当に頭が下がる。
今年はここまで日本と海外を行ったり来たりの競馬が続いている。その中でキタサンブラック、エイシンヒカリ、そしてコパノリッキーとの『逃げ馬』コンビでG1クラスを4勝、その他にもアメリカ三冠レースをラニとのコンビで皆勤、しかも最終戦のベルモントステークスでは3着に入る健闘も見せた。
騎手生活30周年の今年は、円熟みを増した、いや、より進化を遂げているように感じる。
ディープインパクトとのコンビでは鮮やかな差しきりのスタイルを確立したかと思えば、サイレンスズカ、スマートファルコンのような天性の逃げ馬を華麗に導く手腕は武豊騎手だからこそだろう。
『さすが、豊やなぁ。』
というセリフが今、彼には一番相応しいのかもしれない。
0コメント