今年も「有馬記念」がやってくる!

第60回有馬記念(平成27年12月26日 中山競馬場)


中央競馬の一年の締めくくりを飾る大レースと言えば、ご存知「有馬記念」。

早いもので、あと10日となりました。


昨年はスクリーンヒーロー産駒のゴールドアクターが勢いに乗ってG1初優勝。

菊花賞馬のキタサンブラックが3着に逃げ粘り、北島三郎さんがレース終了後に「祭り」を歌われたのは記憶に鮮やかだと思います。

しかも、稀代の名馬・ゴールドシップの引退式もあり、話題豊富な昨年の有馬記念でした。

さて、今年の有馬記念。

今年の登録馬を見ると、昨年の1着から4着馬を含め7頭が出走予定と再戦ムードも漂いますが、菊花賞馬サトノダイヤモンド、昨年のオークス馬・ミッキークイーンなど豪華なメンバーが今年も集まりました。


いろんな意味で注目される有馬記念ですが、紐解いてみると多様なものの見方で分析ができそうです。


出走メンバーの中で、今年の複数G1優勝馬はキタサンブラックただ一頭、他には宝塚記念優勝のマリアライト、菊花賞馬サトノダイヤモンドと、意外にも今年のG1優勝馬がそんなに多く出走してはいません。過去にG1を優勝している馬は?というと、連覇のかかるゴールドアクター、昨年の牝馬二冠のミッキークイーンの2頭のみです。


今年の秋シーズンは先週の香港国際競走を目標とした実績馬が多く、有馬記念までの間隔が短くかつ検疫中ということもあり、例年の天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念と言う王道路線を踏む馬がいません。10月に菊花賞が移動してからも、JCからのステップを踏む3歳牡馬もほとんどおらず、有馬記念を目標としてローテーションを組んだ馬が目立つようです。


人気が予想されるキタサンブラックのローテーションは4月の産経大阪杯(G2)から天皇賞(春)、宝塚記念と進み、秋は京都大賞典(G2)からジャパンカップと年間の出走数がここまで5走となっています。あえて2,000mの天皇賞(秋)をスキップし、ジャパンカップと有馬記念を最大目標に選んだのは余力を残してのことでしょう。自らがレースの展開を作れると言う利点があり、前走もペースが緩かったとはいえ、楽にレースを運んで着差をつけての優勝は今年の成長を感じさせます。


不思議と1番人気に押されることがなかったキタサンブラック。秋の2戦はいずれも1番人気に応えて結果を出していますから、有馬記念でも1番人気に近い支持は集められそうな気がします。


さて、昨年の勝ち馬であるゴールドアクターは中山の日経賞から始動し、天皇賞(春)では思わぬ大敗を喫しました。そこから春は休み秋初戦を中山のオールカマーで結果を出し、JC→有馬記念と言うキタサンより1戦少ないローテーションで臨んできます。

昨年に比べると、勢いが物足りない感じを受けますが、中山での成績が(4101)と抜群であることは好材料です。今年になって入れ込みが目立つのが難点ですので、直前までの気配は注目しておきたいところです。


G1では2着が続き、他の重賞でも勝ちきれなさが残るサウンズオブアース。

JCでは外目を伸びてきて2着に入りましたが、直線ではキタサンブラックを捉え切れませんでした。

遜色ない力は持ち合わせているはずなのですが、勝ちきれないと言うところは予想する側も切るに切れない難しさをはらんでいます。


宝塚記念ではドゥラメンテ、キタサンブラック、ラブリーデイを抑えて優勝したマリアライト。秋の2戦は結果を残せていません。牡馬を相手のレースが続いており、ヒケは取らないので人気を落とせば面白い穴馬であることは間違いありません。前走はかなりの不利を受けていることから着順は度外視。ただ、心理面でのダメージが気になるところです。


今年の強い3歳世代代表のサトノダイヤモンド。

デビュー前からの下馬評に違わぬ活躍をしています。皐月賞、ダービーでもあと一歩という惜しいレースが続いていましたし、ダービー、菊花賞では皐月賞馬のディーマジェスティに先着もしています。もちろんこの世代ではトップクラス、初の古馬を相手にどこまでやれるかはファンも高い関心寄せているでしょう。

また、キタサンブラックとの対決は父親同士が兄弟であるという一面があります。

サトノダイヤモンドの父は言わずと知れた英雄・ディープインパクト。そしてキタサンブラックの父はその全兄であるブラックタイドです。

ディープインパクトの子供たちについては多くを語らずとも優秀なG1馬を多く輩出しています。しかしながら、牡馬産駒の国内のG1に限って言うと複数のG1を勝った産駒が実はいません。

ダービーでは、ディープブリランテ、キズナ、マカヒキの3頭を輩出していますが、この3頭ともG1は1勝だけ(マカヒキは3歳現役なので現時点まで)です。3,000m以上のG1ではサトノダイヤモンドが初めて優勝、それ以外の馬は2着が最高です。エイシンヒカリが古馬として初めて海外G1で複数優勝(香港カップ、イスパーン賞)を収めたものの、国内G1は人気を裏切ってしまいました。スケールの大きい牡馬はいるものの、国内G1レースを2勝以上した産駒がいないというのも不思議な話ですね。


一方のブラックタイド産駒は、キタサンブラックが初めてのG1産駒。しかもすでに3勝を挙げています。弟ほどではないものの、堅実に走る産駒が目立ちますし、重賞勝ち馬もいます。キタサンブラックの場合、母父サクラバクシンオーというのが一つのキーポイントで、父よりも母の血統が注目されているようです。サクラバクシンオーといえば、現役時代は名スプリンターとして活躍、産駒もスプリント路線で活躍する馬が多いため、中長距離で走るイメージがつきにくいのです。

しかしながら、サクラバクシンオー産駒の中山大障害優勝馬がいるのをご存知でしょうか?

中山大障害、中山グランドジャンプを優勝したブランディスがその産駒。

障害競走で活躍する馬は、意外にも父親が短距離実績の馬であることが珍しくありません。

スタミナが豊富な馬ほどステイヤーと思われがちですが、一気のスピードを持続させるには実はスプリンターの方がスタミナを使うという見方をする方もいるくらいです。


そう考えると、サンデー産駒の傾向として母系の良さを強化する力があることからも、スタミナ面の長所を引き出せた産駒がキタサンブラックと言えるのではないでしょうか。もちろん、逃げバテしないスピードも兼ね備えたという面も含めて。


いろんな角度でレース前まで分析しながら考える、そういう面白さも競馬の一つの醍醐味と言えるのではないでしょうか?


有馬記念まで、あと10日!

Self Portrait

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